女はいつも…

コンパクトカメラにはストラップをつけない。

と言うのは、「哲学」らしい。

GR DIGITALⅡを買う前に読んだ「GRデジタル２ワークショップ」と言う本にそう書いてあって、男の人のそう言う、理に適っているのかいないのかわからない男気みたいなものも嫌いじゃないなと思う。

GRD２を実際手にして思ったのは、コンパクトデジカメだけど外観は黒一色で軽い感じ(重さのコトじゃなく)がしないと言うコト。
あたしは、「カメラ」と言うとまだ「フイルム」「現像」って言葉を連想する年代で、子供の頃のカメラは高級品だったし、そうそう触らせてもらえるものではなかったし、その頃の雰囲気をうっすら醸し出しているGRD２に、そんなちゃらいストラップをつけるくらいだったら、なんにもつけない方が正解かも知れない。

そうだ、ジョン・BさんだってDRDを裸で持ち歩いてる。彼の場合、それが彼の哲学に基づいてのコトなのかストラップ嫌いなのか、はたまた別にそこまで考えてはいないのかわからないけれど、ジョン・Bさんがそうなら、「裸のGRD」はカッコよく見える。

今まで持っていたデジカメにもケータイにも、過剰にストラップをつけて個性を出そうとするあたしが、GRD２はそのままにするコトにした。

そして数日後。

むき出しのGRD２は荷物がたくさん入ったバッグのいちばん上に乗せられ、ちょっと左に曲がった時の遠心力ですべり落ち、コンクリートに直撃するコトとなる。

もしもいつものようにストラップをつけていたら…？

ほかのものに引っ掛かって落ちなかったかも知れない。

確かに「哲学」はカッコいい。裸のGRD２もカッコいい。だけどッ!!

自分の性格からして、もう２度と落とさないなんて不可能だッ!!

そんなワケで、ちょうど台湾みやげにもらったかわいらしい白菜(青梗菜？)ストラップをつけてみる。黒い本体に赤いひもがアバンギャルド。

うーん、見た目にもナイスではないか。

ちょっと一安心。

しかし、思い出せ。先月ケータイを水没させた時のコトを。人間は同じ過ちをくり返してはいけない。
あの時どうして棚に乗せてあったケータイが水の中に落ちてしまったか…

「わいもくんキーホルダーを改造して作ったストラップが重くて、引っ張られたからッ!!!」

そう。あの時はストラップをつけていたコトが災いしたのだ。諸悪の根源は重いストラップだったッ!!

まぁまぁ、今回の白菜(小松菜？)ストラップは軽いから、そんな恐ろしいコトを引き起こしはしないだろうけど、あの時、

「落とさないためには首からぶら下げるしかない」

と思ったし、実際、大阪に行く時にバッグから出し入れしたりする時に落とさないとは限らない。

だったら…

「ネックストラップ…なんだったら斜め掛けできるようなものの方がいいんでない？」

思い立ったが吉日。さっそく注文。

うーん、GRD２にストラップつけない同盟の人たちが見たら卒倒するかも知れない光景だな。

だけど、手荷物が多い旅行の時はこうするしかない。なんてったってディズニーランドでおみやげを買ってる時に両手に商品を持ったがためにお財布をそこら辺に置き忘れた人間だ(ちなみにその財布は後日、横浜駅で発見される。もちろん現金は抜かれて)。

残念ながらあたしに手は２本しかついていない。片手にバッグ。もう片手にほかの何かを持ったら、写真を撮ろうと取り出したカメラをどこに置いてくるかわからない(両手、ところてん方式)。もちろん落とす可能性も高い。必要以上に。

なのでここは、哲学より実用。理想より現実。

そう、女はいつもリアリストなの。