社長の金庫の中のハンコ
…ギリギリでしたよ。
書類はできた。あとはハンコだ。
ハンコはそこにある。金庫の中だ。
今、事務所にはあたしひとりだ。
つうコトは、あたしは世界でいちばんハンコに近い人間なのだ、確実に。
しかし…
しかぁーしッ!!!
あたしとハンコを隔てるものは、金庫の壁なんかじゃなぁーいッ!! そんな物理的なものなんかじゃないんだ。
金庫が金庫として存在し続けるために必要とされるアイテムッ!! そう、鍵ですよ。鍵がなきゃ金庫なんてなまら重いキャビネットでしかないのだ。
あんな小さなアイテムに、あたしは足止めされてるのだぁ!!!
(ちなみにここの金庫、背丈があたしくらいあり、人力では移動不可能。死体も入りそうな…いや、もっと言えば「住めそう」)
もっと言えばだよ。その鍵を持ってるのは誰だ??
社長だ。
社長はどこさ?
ここから100km近く離れた取引先さぁ。
つまりは、あたしは金庫にいくら触れられても、あたしとハンコは100km離れていると言っても過言ではない。それは物理的な距離ではないけれど、でも確かなの。あたしとハンコは100km離れている…取りに行って帰ってくると考えたら、200kmとも言えるのです。
でも大丈夫。社長はいつも4時半頃には帰ってくる。
あたしが会社から帰る時間には戻ってきてくれるから、メール便に乗せれば月曜には先方にバキッと届いてるって寸法さッ!!! 今日(18日)気付いたのは運がよかったねぇ。まったくあたしの神様はちょいとばかりいたずらが過ぎますねぇ。
そんなコトを想い描きながら…
午後4時55分。
社長、帰らず。
「まずい…」
さすがに嫌な予感。無意識に受話器に手を掛けるあたし。
トゥルルルル…
『もしもし?』
「…もしもし? ことぶきです。お疲れ様です」
『どうしたの?』
「あの…社長は帰ってきますよね??」
『は?』
「ハンコ欲しいんです。ハンコッ!!!」
ちょうどもう会社の門の前だったらしく、電話を切ってものの2分くらいで現れた社長を、あたしは書類を握り締めて待ちかねていました。
「どしたの?」
「いや、ちょっと、やんごとない事情で大至急送らねばならない書類がありまして」
そんなワケで、5時10分。あたしの苦労は無駄にならずに立派に日の目を見られるコトになったのです。
この時ほど、社長を迎えるあたしの目に『歓迎』の二文字が滲み出たコトはなかったでしょう。
社長が少しうれしそうにしていた顔が思い出されます。
でもね。
勘違いしないで欲しいのよね。
あたしが待っていたのは、鍵だから。
追伸
お仕事の期日は守りましょう。
それから、社長が「帰ってくる」と思い込んでるのは仕方ないとして、いつ帰ってくるか「確認」はしておきましょう。ね? 自分よ。
実はこのあと《対決列島 最終夜》を見たあたしは、鹿児島空港で750mlの「白熊」が夏にしか売っていないと言う事実を、売っているだろうと「思い込み」、「確認」しなかった藤村さんに、とてつもない親近感を抱き、かつ、
「思い込みは仕方ないとしても、確認はするだろう?」
と、彼をたしなめる洋ちゃんの言葉が、激しくあたしの胸に突き刺さったのを感じたのであります…
まぁでも、終わりよければすべてよしッ!!
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