レッツ妄想!! 無人島での5日間 つづき
■三日目 《佐藤重幸》
目が覚める。
隣りのベッドにはシゲちゃんが、上半身はだかで、下半身はボクサーパンツ一枚で寝ている。
絶句する。ダビデ像じゃん。思わず拝む。
あんまりにも気持ち良さそうなので、寝かしておくコトにする。お昼くらいには起きてくるだろう。
台所でブランチの準備をしておく。
午後2時。起きてこない。
「シゲちゃん、起きようよ。寝すぎだよ」
揺すってもなかなか起きてくれない。仕方ないので管理会社に電話。
「すいません、シゲちゃんが起きてくれないんですが…」
電話を切って数秒。シゲちゃんの枕もとの彼のケータイが鳴る。着メロで誰だかわかるらしい。瞬時に起き上がって電話に出た彼の顔は、見る見るうちに真っ青になっていく。
「す、すいません!!!」
電話を切って、初めてあたしに気づくシゲちゃん。
「誰からだったの?」
「…社長だよぉ…『殺すぞ』って言われたぁ。こえ~!!」
「鈴井さんってそんなに怖いの?」
「怖いも何もあるかよぉ! うわぁ、マジかよぉ、おっかねぇ~よぉ」
あとで一緒に謝ってあげるからと言ってとりあえず安心させる。でも本当は本気の鈴井さんを見たいから謝ってあげない。今日の付き合いいかんでは、いろいろチクろうと思うの。
「じゃぁ、今日はどうしましょうか?」
着替えて食事も済ませた彼は、気分も落ち着いたようだ。お気に入りの硬すぎる歯ブラシでの歯磨きを終え、ご満悦の様子。
でも、もうすでに時間は3時過ぎ。
「せっかく秋だから、芸術の秋ってコトで美術館めぐりでもしたかったんだけど…」
「美術館!!! おあつらえ向きなのがあるよ!」
「どこ?」
「ガンダムミュージアム!!!」
「ガ…ンダム(汗)」
「ミュージアムだもの」
「あのさぁ、じゃあ、紅葉狩りなんてどうかな?」
「紅葉!! 赤い!! 赤と言えばシャア!!!」
「あの、シゲちゃん…なんでもガンダムに結びつけるのは…」
結局、シャアのコスプレをしたシゲちゃんと、裏山に紅葉狩りに出掛ける。
なんだか動物の気配もするんだけど、リス一匹出てこない。
でも、具体的に何をするわけでもなく、なんとなく焚き火に持ち込む。そして、台所にあったさつまいもを焼いてみる。
シゲちゃんに写真の撮り方を教わりたいと思ったけど、あたしはデジカメで十分だし、言ってるコトがマニアックすぎてわからないので、今まで撮ったのを見せて、と言ったら、とんでもない数のアルバムを見せてくれた。
ナックスマル秘プライベート写真にドッキドキ。
「どれでも好きなのを持ってきな」
「ホント!!!」
洋ちゃんと鈴井さんが写ってるのを片っ端から抜き取っていると、彼はそっとその中に何かを紛れ込ませた。
あとから見たら、「佐藤重幸 肉体美」と云うタイトルの写真がごっそり入ってた。
「すばるさん(北の密輸元締め。シゲファン)にあげよう」
と思う。自分で所持するのは…ちょっとはばかられるよな。
さつまいもが焼けたみたいなので、ふたりで仲良く割って食べる。
「シゲちゃん、おいも食べる時くらいヘルメット取ろうよ」
そんなこんなで日が暮れてくる。秋だから夕暮れが早いなぁ。
「明日は大泉だっけ?」
「そうだよ」
赤い彗星シャアは、とびっきりのオフレコ話をしてくれた。
■四日目 《大泉洋》
明日は洋ちゃんだ! と緊張してなかなか眠れず。
うつらうつらしていると、隣りのベッドが入れ替わった模様。
そぉっと近づいて、懐中電灯で照らしてみる。
洋ちゃんが、半目開けて寝てる。
笑える。最高に笑える。見えてるんでないべか? こっち見えてるんでないべか?
なんだかちょっと安心したので、眠るコトに。
10時起床。
当たり前だけど洋ちゃんは爆睡。
覗き込むと、今度はかわいい寝顔で寝てる。思わずデジカメで激写。
台所に行ってみると、冷蔵庫の掲示板に
「明日、10時に起こしてください」
と書かれている。洋ちゃんの字だ。
外は寒いし、取り立ててやるコトもないので、寝かせておいてあげようと思う。
12時。「ワイドスクランブル」を見ていると、突然寝室の方から大きな音がして、リビングのドアが勢いよく開く。
「ママッ!! なんで起こしてくれなかったんだよぉ!!! もぉーッ!!」
でも、いたのはあたし。ママじゃないし。
一瞬気まずい雰囲気。
「あ、そうかぁ、家じゃなかった」
「…おはようございます」
「…あ、おはようございます…すいません」
「いえいえ」
それから、昨日シゲちゃんから聞いたオフレコ話が本当なのか確かめるコトに。
「洋ちゃんて、○○ってホント?」
「だ、誰から聞いた? その話」
「シゲちゃん」
「マァジかよぉ!! くそ、だからやなんだ。最終日はぁ!!」
「それからね、シゲちゃんに写真いっぱいもらった」
「ど、どんなよ!!」
「見せない。見せたら没収される。大丈夫だよ。かわいいのばっかだよ」
ほっぺたをプクーっと膨らませて怒ってる。や、かわいい。写真に撮りたい…
窓の外にふと目を向けると、白いものが舞っている。
「あ! 雪だ」
あたしは思わず外へ飛び出す。見る見るうちに積もっていく。寒いので、中に入る。うれしいけど、やっぱり寒いのはイヤだ。
中に入ると、洋ちゃんがソファーを移動して、外を眺められるようにしてくれてる。
さすが気配りの人だわ!! 感動。
あたしは煮だしミルクティーなんかを作ってみる。シナモンやらカルダモンなんかも一緒に。
先にソファーに座っている洋ちゃん。ひと口飲むと。
「あら、おぉいしぃい!!」
好きな人に「おいしい」って言ってもらえるのはいいねぇ。
しばらくふたりで雪を眺める。至福。
■四日目夕方
洋ちゃんとソファーに座りながら雪を眺めている。
おしゃべりが途切れたので、変だな? と思ったら、洋ちゃんがうつらうつらしている。
疲れちゃったのかな? 毛布を持ってきて掛けてあげる。
あと、これ、やりたかったの。
あたしはおもむろに洋ちゃんの頭をなでなでしてあげる。ついでにクルクルパーマをちょっとつまんで伸ばしてみる。結構長いんだ。はは~ん。
「結構長いんだ」
その声にびっくりして窓の見ると…
「鈴井さんッ!!」
頭にいっぱい雪をかぶった鈴井さんが、窓から入ってくる。
「迎えに来たよ」
「え? だってまだ4日目の夕方…」
「4泊でしょ? 初日にもう1泊しちゃってるもの」
「あっ!!」
盲点でした。
「え? じゃあもう帰らなきゃいけないんですか?」
「そうだね」
そこで洋ちゃんおめざめ。
「あれ? 社長。いたの?」
「ごくろうさま。ことぶきさんをお迎えに来たよ」
「あの、そう言えば、顕さんは大丈夫ですか?」
「ああ、今はすっかり大丈夫だよ。でも、ヤツも根性がないよな。あれくらいの暑さで…」
「あれくらい?」
なんだか実際そこにいたみたいじゃないですか?
「ああ、いたよ。ずっと見てたものぉ」
「どこで!!」
「音尾くんと一緒に」
まさかあのライフセーバー!? そう言えば色の白~い若干おなかの出気味な…鈴井さんだったんだ!!
「それだけじゃないよ。お花見してる時は川向こうの桜の木になってたよ」
そう言えば、なんだか異様に枝葉が揺れる木があった!!
「昨日は裏山でクマなんかがことぶきさんを襲わないように…」
言われて気づきました。鈴井さんの頬に流血の跡が!!
「まさかそれ、クマに?!」
「いや、シカに角で飛ばされたんだよ」
そんなにまでして…あたしを…ああ…
「洋ちゃん、さようなら。あたし、鈴井さんと帰る」
「え?! だって夕食もまだでしょ!!」
「でも、行くよ。ごめんね」
そしてあたしは、鈴井さんの操るソリに乗り(引くのは昨日の戦いで抑えたシカ)、島を後にするのでした。
《完》
長々とすいません(汗)
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